個人情報保護審査会答申

2003年5月5日 登録

個人情報保護審査会答申(答申第1号・答申)

審査会の結論

住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)により住所、氏名、生年月日等の自己情報を外部提供することの中止請求に対し、これを不承諾とした処分は、妥当である。

本件の経緯

  1. 本件異議申立てを行ったA、B、C及びDの4人(以下「異議申立人ら」という。)は、調布市個人情報保護条例(以下「条例」という。)第15条の規定により、平成14年9月4日付け「住基ネット上の個人情報の自己情報外部提供の中止請求書」を調布市長(以下「市長」という。)に対して提出し、外部提供の中止を請求(以下「本件請求」という。)した。
  2. 異議申立人らの本件請求4件に対して市長は、同年10月1日付けで、自己情報目的外利用等の中止請求不承諾決定(以下「本件決定」という。)を行った。
  3. 異議申立人らは、本件決定に対し、同年12月1日付けで市長に対して異議申立書を提出(以下「本件異議申立て」という。)した。
  4. 本件異議申立てに対し、市長は条例第28条の規定により同年12月16日付け14調生市発第91号で、調布市個人情報保護審査会(以下「審査会」という。)に諮問を行った。
  5. 異議申立人らから、条例第33条の規定により、平成15年1月8日付けで口頭による意見陳述申出書が提出された。異議申立人らのうち、A及びBは、Eを代理人とし、委任状の提出をした。
  6. 異議申立書の請求内容が、自己情報の件名、不承諾理由、異議申立ての趣旨等に同一性が認められることから、異議申立人らの同意を得て合同審査とした。
  7. 市長から条例第33条の規定により、平成15年1月8日付けで口頭による意見陳述申出書が提出された。

本件異議申立ての内容

  1. 本件異議申立ての趣旨
    「市長が平成14年10月1日付けで行った自己情報目的外利用等の中止請求の不承諾処分を取り消す。」との決定を求める。
  2. 本件異議申立ての理由
    異議申立人らは、住基ネットの運用により、実施機関の自己情報の取扱いやセキュリティ管理などの点に関して、また、東京都知事へ通知した本人確認情報が国により目的外利用等されるのではないかということに精神的な不安を感じており、このような状況下で本人確認情報を東京都知事へ通知したことは、違法・不当であると主張し、この不安の主な理由を次のとおり述べた。
  • 市長は、住基ネットに対して「セキュリティ対策」「情報が漏れたときの対応」「漏れた情報に対する対応」「個人に対する補償」等、不安を解消するような説明をしていない。
  • 国は、住基ネットによる個人情報を取扱う事務の範囲を徐々に拡大している。
  • 住基ネットについての不安を持つ市民が大勢いるが、市民とのディスカッションを何も行わず「安全」とは言えない。
  • マニュアルによる運用をしているが、どこまでをマニュアルで行っているのか分からない。また、本当にあるのか分からない。
  • 今の社会情勢や国のあり方自体も整備されていないところに不安を感じる。
  • コンピュータで管理しているが、このような情報はハッキングされる。
  • セキュリティ対策がどうなっているのか分からない。
  • 住基ネットに対する市からの情報公開がない。
  • 住基ネットは、戦争のための国民の監視管理のシステムである。
  • 住基ネットには有事立法とワンセットとする動き、また、税金を徴収するための名寄せに利用する動きがある。
  • 個人情報保護法案では国の機関は適用外となっており、このことは国が言論を統制する国家機密法へとつながるものである。
  • 住基ネットを利用したいという人に番号を付け、利用したくない人には番号を付けない選択性にすべきで、強制的に番号を付け国家が管理して情報を集積するのは、人間の尊厳を侵すことである。

実施機関の説明要旨

  1. 住基ネットによる本人確認情報の東京都知事への通知は、住民基本台帳法(以下「法」という。)第30条の5第1項及び第2項の規定により、事務の目的そのものとして行うものであり、条例で規定する外部提供には当たらない。
  2. 個人情報の目的外利用等の中止を請求できる場合を、条例の規定によることなく個人情報を利用しているときとしている。住基ネットによる本人確認情報の東京都知事の通知について、条例上求められる手続きは、条例第14条に規定するオンライン結合による外部提供の制限であり、これについては、平成14年1月25日に開催された平成13年度第3回審査会で諮問し、承認を得ている。

なお、承認に際し、次の付帯意見が付されているが、これに対し、マニュアルの整備、職員研修の実施、また、調布市住民基本台帳ネットワークシステム管理運営規程の制定、調布市住民基本台帳ネットワークシステム緊急対応計画の策定など、対応を図っている。

審査会の付帯意見

住基ネットにおける個人情報保護の重要性について制度運用に携わる職員が正しく認識するよう運用のマニュアルの整備や職員研修を確実に実施し、運用面における万全なセキュリティ対策を講ずること。

  1. 個人情報の保護対策として、制度面、技術面及び運用面から、次のとおり必要な対策を図り運用を行っていることから、異議申立人らの主張は認めることができない。

制度面

本人確認情報は保護されるべき個人情報であるため、法において本人確認情報の提供を行う行政機関や利用事務を法別表で具体的に規定するなど、情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないことを規定し、法で定める場合以外の利用を制限している。

技術面

住基ネットにおいては、関係機関は、法により本人確認情報の安全確保義務等を負っており、具体的には、外部からの侵入を防止するため、専用回線の利用、通信データの暗号化、通信相手となるサーバーとの相互認証等が義務付けられているほか、ファイアウオールの設置を義務付けるなど、必要なセキュリティ対策を講じている。

運用面

  • 法により、住基ネットに係る事務に従事する市町村、都道府県、指定情報処理機関及び本人確認情報の提供を受けた国の機関等は本人確認情報等の秘密を漏らしてはならないと定められ、これに違反した者は、通常の公務員の守秘義務違反よりも重い(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)刑罰が科せられている。
  • 市町村、都道府県等の委託業者についても、法によって、本人確認情報又は住民票記載事項の安全確保措置が義務が付けられ、また、委託業者又はその役職員は、秘密等を漏らしてはならないと定められ、違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処することとされているなど、委託業者からの情報流出を防止するための措置も講じられている。

審査会の判断

  1. 異議申立人らの主張を要約すると、実施機関における自己情報の取扱い、管理などの点及び東京都へ提供した自己情報が国により目的外に利用されるのではないかという点に不安を抱き自己情報の外部提供の中止を主張している。
  2. 一方、実施機関の主張を要約すると、本件本人確認情報を東京都知事へ通知することは、住民基本台帳事務の目的の範囲内であり、また、条例の手続を遵守しているものである。また、異議申立人らが主張する精神的不安に対しては、制度面、技術面及び運用面から必要な対策を図っているため、不承諾処分は妥当であると主張している。
  3. 両者の主張の争点は、住基ネットにおける本人確認情報の取扱い、セキュリティ対策等の管理運用並びに国における本人確認情報の利用についてである。このうち、東京都知事へ通知した本人確認情報が国により目的外に利用されるのではないかという不安については、国が本人確認情報の提供を受け、利用することができる事務を法において明確に規定しており、その他に異議申立人らが主張する住基ネットを利用した「戦争のための国民の監視管理のシステムにつながる。」「税金を徴収するための名寄せに利用する動きがある。」などの利用については、当審査会で確認し、判断できる状況にないため、調布市における管理運用の状況について確認し、その判断をすることとした。

なお、実施機関の説明にもあったとおり、住基ネットの稼動に際し、オンライン結合について、承認の答申(平成14年1月25日付け13調個審収第6号の2)をするに際し、以下の意見を付していることから、この取扱いを含めて現在の状況を確認した。(付帯意見については、「4.実施機関の説明要旨」に記載のとおりである。)

  1. 審査会における運用状況の聴取等

次のとおり、関係書類の提出を求めるとともに、実施機関からその運用状況を聴取し、条例及び運用に係る関係諸規程との整合性並びに市民への対応状況を確認した。

調布市住民基本台帳ネットワークシステム管理運営規程

平成14年調布市訓令第14号。以下「運営規程」という。)及び住民基本台帳システム運用管理マニュアル(平成14年8月5日作成。以下「管理マニュアル」という。)による運用状況

  • 調布市セキュリティ会議(平成14年10月21日開催の会議次第、会議報告、監査実施状況の一部)
  • 本会議は、運営規程第6条に規定する会議であり、住基ネットのセキュリティ対策として緊急時における調布市の対応について確認したこと、また、監査委員による現地監査の結果、適正に管理されていること、緊急連絡網、住基ネットの問い合わせ状況、第2次稼動の予定等、当日開催された会議内容の報告を受けるとともに記録を確認した。
  • 住基ネットCS室入退出管理簿
  • CS室とは、東京都と調布市の住基コンピュータをつなぐコミュニケーション・サーバーが設置されている部屋で、入退室できる職員は、市民課職員・神代出張所職員・情報管理課職員に限られている。
  • 管理マニュアルでは、このCS室に入退室するときは、当該管理簿に氏名、所属、目的、入退室日(時間)等を記入することになっているが、その記入状況について確認した。
  • 操作者用ICカード在庫管理表
  • 操作者用ICカードは、住基ネット端末を操作する者を特定し、当該職員に貸与している。管理マニュアルでは、この操作者用ICカードを貸与したときは、使用開始年月日、廃棄年月日、貸与・管理等を管理簿に記入することとなっているが、その状況について確認した。
  • 住基ネットワークシステム帳票一覧
  • 管理マニュアルでは、住基ネット端末で出力する帳票の名称をあらかじめ一覧で表示することとしているが、その帳票名一覧を確認した。
  • 帳票管理簿
  • 管理マニュアルでは、上記住基ネットワークシステム一覧で表示した帳票を出力したときは、当該出力帳票の名称、出力年月日、使用目的、申請者及び出力枚数を帳票管理簿に記入することとしているが、その状況を確認した。
  • 住民票コード要求・付番処理件数一覧表CS室で管理する住基ネット端末から出力される帳票で、新規コード付番等の状況を月次で管理するものであるが、その帳票の管理について確認した。
  • 住基ネット操作者一覧
    管理マニュアルでは、住基ネット端末を操作することができる者の氏名、所属及び権限を記載した一覧表を作成し、操作者情報を管理することとしているが、その状況について確認した。

不正アクセス時及び障害時対策についての緊急対応について

運営規程第18条に規定する不正アクセスを受けたときの対応及び第19条に規定する障害発生時の作業手順として、調布市住民基本台帳ネットワークシステム緊急時対応計画の作成状況及び同計画で求めている緊急連絡網の作成状況について確認した。

住基ネットに係る問い合わせ及び実施機関における対応状況

  • 7月29日から9月12日までの間で、電話約500件、メール70件、手紙10数通の問い合わせがあり、すべてについて回答
  • また、市民からの意見・苦情への対応状況を聴取

委託契約に係る個人情報の保護措置の状況

次の契約書の写しの提出を受け、確認した。

  • 住基ネットワークシステム運用支援委託
  • 運用業務委託(上半期)
  • 運用業務委託(下半期)

職員研修の状況として、操作マニュアル等を用いた研修を3回行い、その他、所属長が朝礼時などに随時所属職員に意識啓発を図っている

住基ネットに係る市民への周知の状況としては、次のとおりである。

  • 市報に2回(平成14年1月20日号及び平成14年8月5日号)掲載し、パンフレットを市役所や公共施設等に置いた。
  • ホームページへ住基ネットに関わる基本姿勢を公表(平成14年8月)
  1. 現状において、住基ネット運用に際し実施機関に対して求められる個人情報の取扱い、セキュリティ対策、関係規程を遵守した運用が図られており、また、当審査会がオンライン結合の承認に際し行った付帯意見へもその対応が図られている状況にあると認められる。以上のことから、当審査会は、「1.審査会の結論」のとおり答申を行った。
  2. 審査会からの意見

今後、住基ネットの運用については、ICカードによる2次稼動が平成15年8月に予定されている。言うまでもなく、個人情報はその取扱いを誤るとプライバシーの面から取り返しのつかないものであり、情報化社会においてはその保護が一層大切である。実施機関はこのような状況を十分に考慮し、住基ネットに対する市民の理解を深めるため、市報等による広報活動や個人情報の保護及びその取扱いを更に万全なものとするため、実施機関職員に対し研修を実施するとともに、全庁的に個人情報を漏れないよう取り組む意識の醸成に努められたい。

審査会の処理経過

審査会は、本件諮問について、記載のように審査を行った。

平成14年12月16日諮問
平成14年12月26日実施機関より理由説明書受理
平成15年1月8日実施機関より口頭による意見陳述申出書受理
平成15年1月14日異議申立人より口頭による意見陳述申出書受理
平成15年1月21日異議申立人及び実施機関より意見陳述聴取(第4回審査会)
平成15年1月29日実施機関より事情聴取・審査(第5回審査会)

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