市長コラム「手をつなぐ樹」第204号 遠い昔の

2012年10月20日 登録

調布市長 長友貴樹の写真

遠い昔の

 私は、子供時代を過ごした大阪への郷愁もあり、お好み焼きやたこ焼きなどのいわゆる「粉もん」が大好きだ。さまざまなイベントの模擬店でそれらを口にすることも多い。
 先日も、そのような機会に買い求めようとして列に連なったところ、私のひとり前に野球帽をかぶった小学生とおぼしき少年がいた。彼は売り子の青年に質問している。「これしかないんですか」。たこ焼きの定価は、6個400円と書かれている。青年はきわめて丁寧に答えた。「それしかないんですよ」。それを聞いて少年は、あらためて手のひらに握りしめた小銭を数えていたが、明らかに足りないようだ。それでも残念そうに、もう一度視線をたこ焼きに投げかけてその場を離れた。2、3個なら買えたのかもしれない。
 自分の番になった私は、反射的に注文していた。「2つください」。彼の姿はすぐに見つかった。そして、「1つどうぞ」と言おうとしたのだが、喉まで出かかったその言葉を飲み込んだ。彼は常日頃、見ず知らずの人間から食べ物をもらうことなどは親に固く禁じられているに違いない。咄嗟(とっさ)にそう思った。
 私には、いたいけな彼の姿が思わず遠い昔のわが子にダブって見えた。ただそれだけのことだったのだけれど。

調布市長 長友貴樹

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