市長コラム「手をつなぐ樹」第259号 揺蕩(たゆた)う病葉(わくらば)

2015年7月20日 登録

調布市長 長友貴樹の写真

揺蕩(たゆた)う病葉(わくらば)

 先月、作詞家横井弘さんの逝去が報じられた。昭和がまた遠くなっていくように感じられるのは、やはり淋しいものだ。仲宗根美樹さんの歌唱による名曲「川は流れる」を初めて聞いたのは昭和36年だった。
 「病葉を今日も浮かべて 街の谷 川は流れる」。当時、私はまだ小学生だったが、仲宗根さんの哀調を帯びたハスキーな歌声は強く心に響いた。この歌を口ずさめば、今でも高度成長前の貧しい日本の情景がありありと思い起こされる。私の脳裏に浮かぶのは、廃水で汚濁した川の水面(みなも)でゆらめく枯葉が静かに流されていく、もの悲しいまちの風景だ。「ささやかな望み破れて 哀(かな)しみに染まる瞳に 黄昏(たそがれ)の水のまぶしさ」。ままにならない人生に悩み疲れ傷つきながら、人は夕暮れの川の流れに何を思うのだろうか。私は、これほど効果的な体言止めの歌詞を他に知らない。
 また、翌37年にヒットした倍賞千恵子さんの「下町の太陽」も横井さんの代表曲の一つだ。それらの作品の底流に共通するのは、横井さんの社会や人間を見つめる視点の温かさだろう。挫折しても、絶望することなく前進していこうと常に語りかけてくれていた。そこに昭和の連帯感があったとも言えよう。その社会の共通項は、平成の世でも同様なのだろうか。

調布市長 長友貴樹

このページに関するお問い合わせ

行政経営部 広報課
電話番号:042-481-7301・7302
ファクス番号:042-489-6411
このページに関するアンケート

このページの内容が分かりやすかったかどうかを回答するフォーム

このページの内容はわかりやすかったですか?

このページが見つけやすかったかどうかを回答するフォーム

このページは見つけやすかったですか?

このページにどのようにたどり着いたかを回答するフォーム

このページはどのようにしてたどり着きましたか?

お気に入り 使い方

マイメニューの機能は、JavaScriptが無効なため使用できません。ご利用になるには、JavaScriptを有効にしてください。