市長コラム「手をつなぐ樹」第306号 黒く溶けた舗道

2017年8月20日 登録

調布市長 長友貴樹の写真

黒く溶けた舗道

 空に覆いかぶさる入道雲。地平線まで続く向日葵(ひまわり)畑。永遠に鳴りやまぬような蝉の大合唱。脳裏に浮かぶ夏の情景は、人それぞれに異なるだろう。
 私の場合、夏の強烈な思い出の一つは、アスファルトかコールタールが高温で黒く油状に溶けた舗道だ。中学時代、親に買ってもらったテニスシューズにその油がつかないように細心の注意を払いながら、一日も欠かさずに夏休みのコートに通った。
 小学校で熱中した野球を続けたかったのだが、いかんせん身体が小さすぎた(その後、高校入学時にはついに学年でもっとも身長が低くなり、改めて大きなショックを受けることになる)。
 それで、身長差を多少とでも克服できる競技ということで軟式テニスを選んだ。と言っても、上背が必要な前衛は所詮無理だったが。そして大会に出て、人口40万人ほどのまちで1位になった。素質があったわけではない。ひとえに甲子園球児のごとき猛練習の賜物だ。あれだけ練習すれば誰だって上達するだろう。それだけ必死になった一番の理由は、やはり小柄な体躯では何かで優位を保たねば生きづらいという防衛本能だったと言える。今、思い起こせば、健気にも滑稽にも思えるのだが、あの時点では、本気でそう思いつめていた。
 半世紀後の舗道には、もう溶けた油は見受けられない。

調布市長 長友貴樹

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