〇青山亜沙子さんインタビュー全文(敬称略) 立花:現在のお仕事を始めたきっかけはなんですか。 青山:小学校の夏休みの自由研究でミシンを使って刺繍をしたり、何かを作製したりすることが小さい頃から大好きでした。    大学受験のとき、家政科に進むか英語科に進むか悩んで、英語科に進んだのですが、やはり心のどこかで縫製の仕事をしたいと思い、   結婚前に転職したのが婦人服の縫製工場でした。そうした中で、ゆくゆくは自分の好きなものを作って販売したいと思っていました。        それから長女が新体操を始めて、かわいい手具のケースが欲しいと長女に言われたので、仕事としてではなく長女用に作り始めました。    ある時、長男から「ぼくは幼稚園に行っていて,お姉ちゃんは小学校に行っていて,お父さんはお仕事をしているけれど、お母さんは何をしているの?」と言われ,   その一言が後押しになって、仕事として縫製をやろうと決断しました。    夫が仕事で忙しいので、自分が外で働くことはできないと思っていましたが、調布市産業労働支援センターの創業セミナー「絶対創活塾」に参加し、   縫製と創業がマッチングして、自宅で仕事をすることになりました。 立花:ご自身は新体操の経験はありますか。 青山:自分自身は新体操の経験はありません。 立花:RGMagicという名前の由来を教えてください。 青山:RG は新体操の英語であるリズミックジムナスティック(Rhythmic Gymnastic)の頭文字です。    魔法にかかったように新体操が上手になってほしいという思いから名付けました。 高橋:産業労働支援センターのセミナーを知ったきっかけはなんですか? 青山:セミナーを知ったきっかけはインターネットです。セミナーの内容は、何をやりたいのかを書き出すこと、   先生方からアドバイスをもらうこと、起業プランを発表することなどでした。 立花:仕事内容について教えてください。 青山:生地選びから製作、販売、梱包、発送まですべてを行っています。 立花:すべて一人で仕事をしているのですか。 青山:はい。すべて一人でこなしていて、一人でこなせる規模に留めています。 立花:商品1個あたりの製作時間はどれくらいですか? 青山:1個およそ30分でできるものもあります。デザインが決まっているものは、1日にいくつもできます。 坂部:商品の中で最も作るのが難しいものはなんですか? 青山:一番作るのが大変なものはリボンケースです。一番簡単なのはフープのカバーです。まっすぐの布を縫うという簡単な作業でできます。    また、一つずつやるのではなくいっぺんに10個分をカットするなどして効率よく作っています。一個ずつやっているととても大変なので。 立花:商品の魅力やこだわりはなんですか? 青山:こだわりは、ほつれ易い所を二重で縫うなど丈夫に作っているところです。気になるところは自分でアレンジできるところがいいです。 立花:この仕事のやりがいはなんですか。 青山:「好きなことを好きなようにできること」。この一言に尽きると思います。 立花:自宅で仕事をする利点と大変なことを教えてください。 青山:利点は好きな時間に仕事ができることと、時間を気にせず家事ができることです。    少し大変なことは、仕事と生活の切り替えが難しいところです。それがストレスになる方もいると思いますが、私にはあまりマイナスには   なっていないので、すごく大変だとは思っていません。 高橋:製作や販売におけるこだわりはなんですか。 青山:お客様と話す機会が少ないので、ショップカードに感謝の言葉を書いて一緒に送っています。    あと、今のネットショッピングは注文して次の日に届くのが当たり前になっていますので、注文から発送までをいかに早くするかということに   気を使っています。    生地は外国製ではなく必ず日本製のものを使うことにこだわっています。日本製の生地はとても高品質で外国製の物とは大きく違っています。    また、検品を業者に頼んでいないため、商品一つ一つの検品にとても気を使っています。ほつれがないかどうか、ごみが入っていないかなど丁寧に行っています。 高橋:女性が起業するにあたって苦労したところは何ですか。 青山:やはり最初はなにも知識がなくてわからなかったため、はじめの一歩をどう踏み出すかが大変でした。    行動力が大事だと思います。 坂部:起業してから現在に至るまで、経営上で悩んだことはありますか? 青山:どうしても子ども優先になるために1日のノルマを達成できない日があることです。    やろうと思っていることができないという葛藤はありました。 高橋:女性が仕事をするうえで必要だと思う事はなんですか。 青山:子供のいる女性に必要なことは、周りの人に躊躇なく頼ることです。一人で頑張ろうと思ってもなかなか難しいときがあると思います。    さらに、男性の意識を変えていく必要があると思います。女性が家事をするのが当たり前ではなくて、やれる人がやれることをするという   意識に変わっていくことが大事だと思います。 高橋:新体操の魅力はなんですか。 青山:体操とはまた違う魅力があると思います。新体操は音楽に合わせて動くのでそこが魅力だと思います。 坂部:育児についてパートナーと話したことはありますか? 青山:はい、家にいる時は家事を手伝ってほしいと言ったことがあります。    夫の同僚が今、育児休暇を取っていて、その分の仕事は,夫を含め協力しながら助け合っている状況です。    10年前は男性の育児休暇なんて浸透していなかったので、時代は少しずつ変わってきているのだなと驚きました。 坂部:縫製の技術を新体操用具以外へ展開する予定はありますか。 青山:実は新体操用具だけではなくて、3,4年ほど前から愛知のハワイアンショップにスカートを作って送っています。    時間があれば新体操用具に特化して、ラインナップを揃えていきたいと思っています。それでも余裕があれば、大手が手を付けられないような   ニッチな市場を開拓したいとも思っています。    レオタードを販売するのもいいなと思っています。 坂部:今後も一人で経営していくご予定ですか? 青山:できれば育児をしていて外に働きに行けない方に下請けで仕事をお願いしていきたいと考えています。 坂部:新体操の競技人口の男女比についてどのようにお考えですか。 青山:男子の新体操は日本が発祥ですが,新体操をしている男の子は非常に少ないと思います。 坂部:RGMagicの商品を男の子が利用することはありますか。 青山:親御さんが注文されるので詳しくはわかりませんが、おそらく女の子がほとんどだと思います。 坂部:男の子からのオーダーメイドには対応しますか? 青山:はい。対応する環境を作りたいと思います。 高橋:一日の過ごし方を教えてください。 青山:朝起きたらまずパソコンを開いて受注の確認をします。ご飯を作って、買い物は午前中に済ませて、午後から縫い始めることが多いです。    昼間できなかったら夜に回して仕事をします。 高橋:お子さんの隣で作業をしているのですか? 青山:はい。子どもと同じ空間で仕事をしています。子どもが小さいときはミシンが危なかったりするのですが、大きくなったので大丈夫になりました。 坂部:今後のご自身の目標や展望についてお聞かせください。 青山:やはり仕事よりも子どもが優先なので、子どもが大きくなって少しずつ時間が確保できるようになったらラインナップを増やしていきたいです。    その延長線上で、難易度が高いレオタードにも挑戦していきたいと思います。 高橋:仕事はいつまで続けたいですか。 青山:この仕事はずっとやめることはない気がしています。好きなことを仕事にしているのでやめたいと思いません。 インタビュアー一同:本日はお忙しい中,お時間をいただきまして、ありがとうございました。